インタビュー

Posted on 2018-05-31
完全リモートワーク17年、私達の働き方改革。働き方の黒歴史から の脱却と創意工夫ノウハウ


有限会社デジタルムーン 代表取締役社長 道田美津代

有限会社デジタルムーン 代表取締役社長 道田美津代

取材/聞き手  宮崎純代

2016年に始まった国全体の取り組みである『働き方改革』ですが、道田さんの改革は、阪神大震災と子育てをきっかけに始まっていました。
会社設立までの道のり、インターネット黎明期ならではの出合い、模索と改善、その変遷は、Googleのスプレッドシートに理路整然と埋められました。いかにもソフト開発会社の経営者らしい。色んな施策がある働き方改革ですが、本当の改革に不可欠なものとは、いったい何? 業務で活用する具体的データと共に、身を持って提言してもらえた取材になりました。

ハードワークでやむなく退職した女性達が、ネットで出会い、やりがいある仕事を目指して

1995年阪神大震災で、自宅の新築マンションが半壊し予想外の修繕費用の出費がありました。小さい子どもが既にいましたので、その時に人生のリスクヘッジは自分がとにかく早く働く事だと思い、まずは特技のパンとお菓子の教室を始めたのですが、楽しいけれど僅かな儲けしか出ないため見切りをつけました。しかし、パートに応募しても外で働く時間の問題で不採用に。働いてないと保育所も応募できなかったのです。そもそも働いていても保育所難の時代でした。
そこで、相談相手の人材派遣会社を立ち上げた友人から「今仕事したいなら、携帯、FAX、パソコンは必要よ」と言われ、翌日ミドリ電化に買いに走ったのです。そこからPC、Webの勉強が始まりました。

――― その時期のネット環境は、まだ常時接続ではなかったですよね?

最初はダイヤルアップ接続です。ネットにつなげる時にいちいち接続しないといけないピーヒョロロ~って鳴るアレです。その後、ADSLの常時接続を経て、2001年頃から高速の常時接続ができるようになって、世界が変わったと思いました。(笑)

1999年 ソフト開発会社をハードワークでやむなく退職した子持ち女性が数人集まって勉強会をしました。いつか仕事したいねという人達の集まりです。

――― ネット上での出会いですか?

私が設置した掲示板の「勉強会しませんか~」っていう声掛けに書き込んできたのが、今の相方の橋本です。
また宝塚市の女性センターで開催された「在宅ワークセミナー」で知り合った近所のママ友(元エンジニア)もいましたね。
それと当時宝塚でコミュニティ情報サイトを立ち上げていた男性も加わって、かなりいろいろ教えていただきました。

2001年 4人で資金を出し合って有限会社を設立しました。

――― 道田さんが発起人ですか?

実は会社設立した当時の代表は私ではなかったんです。
話し合って、一番若いメンバー(男性)に代表になってもらって、私達が彼を支える感じでスタートしました。しかし、すぐに代表が体調を悪くして実質活動出来ない状態になり、2年目からは、私が一番年上で、子どもの年齢も上でアチコチ動き回りやすかったということもありまして 私が代表になりました。

社員研修旅行

社員研修旅行

デメリット環境をメリットに変換していく

――― 決断と実行のスピードが速いです。

会社設立当初、安価な電脳内職ではなく、会社として提示できる報酬の仕事、責任、やりがいのある仕事を取る事を目標にしていました。子持ち主婦だと舐められることもありましたが、「代表取締役」という名刺を渡すと態度が変わる男性もいましたね。
実際のクライアントさんは、事前に私が何者かわかっているので、態度云々は無いのですが、商工会とか、コミュニティの集まりとか、中高年シニア男性と名刺交換するとちょっと態度が違ったりして…同じ人間なのに「会社組織」にすると違うんだなぁ…って思いました。
意外だったのは、取引するにあたって「家族がいる、子どもがいる⇒逃げない⇒安定している」という印象がある⇒信頼を得やすいという事もわかりました。
年配の取引先社長と世代が近い事もあって、落ち着いた話ができるというのもメリットだったかも。

――― 営業は?

営業という事はあまりやってなくて、WEBからの問合せや依頼が入ったら会いに行く感じです。まずは私が行きます。システム的な話になれば、橋本が同行します。大きな開発やメンテの発注があった場合は、最初だけ、担当が挨拶に行く場合もあります。

――― 既存のお客様が多いのですか?

ニッチな言語を専門にやっているので、検索で探されて依頼が入る事、あとは紹介ですね。
会社経営としては、良い例ではないかもしれません。顧客の数は多くありませんし、ニッチ過ぎて、市場は小さいし…でも、一般的なPHPをやるよりは、競争が少ないので、いつもリソースは余裕が無く業務が詰まっている状況です。
(主にColdFusion、効率の良さがあるが、開発者が少ない)

起業してずっと、3年はもたないと思いながら、17年が経ちました。

――― 創業メンバーというかパートナーがそれだけ長く続くというのは、IT業界では貴重、珍しくはないですか?特に女性が多いと家庭事情もあって入れ替わりが激しい傾向になります。いや、それをリモートワークならではで解決してきたのでしょうか。ニッチな市場のニーズの高さや方向性が一致しているからでしょうか。
デジタルなスキルを持った者同士だからこそ可能になったケースではないでしょうか。
ところで、主なリモートワークの変遷を教えていただきたいです。

メール 電話 FAXが中心の2001年から、2018年は以下のツールに変遷しました。
Backlog+Googleスプレッドシート+チャットワーク+Skype通話+Type talk+kintone他に諸々使っています。全てクラウドサービスです。良い時代になりましたね。
ルーティーンの決まり事は出来るだけ少なくしています。
朝の挨拶と作業予定をチャットで知らせ、終わりは社内で内製したWEBシステムを使って、簡単な業務報告を送信します。(仕事の詳細な状況は、チャットや課題管理でリアルに共有しているので、簡単な業務報告で良いんです。)

よく使うITツール クラウドサービス2018~ベスト6(リンクあり)

No1.Backlog(プロジェクト管理ツール)
関わるメンバー間での案件、課題の進捗管理、仕様確認、Wiki 、ドキュメントやファイルの共有などに使っています。
Backlogは公開後すぐのベータ版2006年頃から使っています。

No2.Google スプレッドシート
仕様の整理や、テストシナリオなど、ミーティングのメモなどで活用。スプレッドシートに整理して、BacklogにそのURLを記載したりしています。

No3.チャットワーク
社外の方とのチャット用。質問や連絡、相談など顧客とのコミュニケーションやサポートに使用。

No4.Type talk
社内のチャット用。Backlogとの連携機能がある。社外用と社内用チャットは使い分けています。
以前、社内メンバーにチャットワークで質問したら、「顧客からのチャットだと思ってドキッとするから、社内でチャットワーク使わないで下さい」って言われました(笑)
通知音には敏感です。。

No5.Skype 音声ミーティング用
No6.ZOOM 音声ミーティング用
相手によって、使いやすいツールで音声ミーティングしています。

Skypeは初期の頃から使っていました。当時は、同時通話に人数制限があって(3人だったか5人だったか…忘れましたけど)、全員でミーティングが出来なかったのです。
社内全員で同時通話できるようになった時は小躍りしました(笑)

自由は過酷でブラックなので、独自社内ルールを確立

誰もが必死で勉強しながら制作していた時代です。昼間は子どもの行事に時間をとられ、夜に仕事。クライアントから夜中にメールが入り、返信や作業も行っていました。
月夜、毎晩、PCに向かって仕事、勉強していた当時のイメージから会社の名前も「デジタルムーン」なのです。
しかし、これではいけない、理想の働き方ではない。
働き過ぎない、体を壊さない為のルールが必要だと会社独自のルールを決めました。

社内ルール
・基本の就業時間帯を9時~18時に設定。土日祝日は休み。
(夜間、休日に仕事する必要がある場合は申請必要)
・基本的には、ひとりの労働時間設定は、月80時間~130時間に設定。
(忙しい時は一時的にフルタイムの160時間まで増やせる余裕があります)
・1案件をできるだけ二人で担当
(社員にとって休みやすい安心感。忙しい時は短期間に二人分のパワーが出せる)
・各案件の納品日に合わせて各自、日々の労働時間を管理。
・毎年、年初に「今年の働き方」提出。毎月の労働時間、年収の希望を聞いて、月給が決まる。
・短時間勤務でも、規定の条件に達すれば、社会保険に加入。
・勤務の時間数に関係なく社員待遇は同じ。

 

私達が経験し構築した働き方改革を、IT活用の新たなニーズのなかで社会に還元していく

社員は、福岡、兵庫、名古屋、神奈川 と点在しているので、飛行機の便が合わせやすい場所で年一回の社員旅行をしています。今年は北海道でした。普段できない飲み会、忘年会、新年会、お誕生日会、慰労会兼ねて、温泉でご馳走食べて、ミーティングします。

――― ここまでスタッフが全国に広がったのは、ネット上での募集ですか?

一緒に起業した橋本は、夫さんの転勤で宝塚⇒神奈川⇒福岡と転居しながも業務を継続しています。
2006年頃、最初に公募したのは、女性専門のマーケティング会社「HERSTORY」に登録されていた女性在宅ワーカー向けのメルマガです。その際に神戸、神奈川在住の2人を採用しました。どんな人が来るのかドキドキしましたが、2人とも10年以上勤務しています。
名古屋のメンバーは、橋本の福岡のママ友(システム開発会社に勤務)が夫の名古屋転勤で仕事を辞めてフリーに。ウチの会社に誘いました。
今年は、その名古屋のメンバーの紹介で、システム会社の元同僚を採用しました。

――― 今後のシニア女性システムエンジニアの働き方についてはどうですか。

女性エンジニアは、まじめにコツコツとやる保守・改修のような仕事にも向いています。(システム作るともれなく、保守・改修もついてくるので…)私達のような子育て経験もしている主婦プログラマは結構忍耐強くて、そんな特徴を活かした仕事に重宝されてきました。しかし、年齢が上がるにつれて、ガリガリ長時間プログラムを書き続けたり、コードを目で追ったり、いつまでも最新の技術情報を追うのは辛くなることもあります。これからはクラウドのサービスを利用した業務改革のアドバイス、サポートなど、本来の経験、良さが活かせる仕事にもシフトしていきたいと考えています。

「働き方改革」は考え方が変わるだけで、一つ前進しました。しかし本当の改革をするには、ITを駆使してワークフローの改善をし、仕事の効率化を図っていくことが必要不可欠です。少し前までは、結構な時間とお金をかけてシステム開発するしかありませんでしたが、今は、短時間で手軽に手頃な価格で業務効率化できるクラウドサービスが提供されています。IT苦手だと言われる担当者の方も、今は、スマホも日常的に使われている事が多いので、少し私達が手伝う事で、大きく業務改善する事が可能だと思っています。
今後は、これまでのシステム開発に関わった経験、そして組織での業務経験を生かして「本当の働き方改革をしたい」と考えている事業者さんのお役に立ちたいと考えています。

――― 実際に身を持って改革モデルを作られたので説得力があります。AI活用についてはどう考えておられますか?

労働人口の高齢化や労働人口減少のひとつの解決策として、AIの得意な分野での利用は進むでしょう。
AIによって仕事が奪われるとは思いません。人が必要とされる場所が変わるだけだと思います。
AIを利用した開発については、どういう部分に使われると面白いか(イージーで便利か)というアイデアが大事なのではないかと思います。

最近、Amazon Echo買いました。アレクサと話しながら、次の未来を考えたいと思います(笑)

――― さすが、早速最新のものをお買い上げで。
オフでは、かなり本格的にダンスをされてるみたいですね。そこのところを教えていただけませんか?

オールドスクールのジャンル(LOCK やPOP)のダンスを楽しんでいます。
年に何度かのスタジオの発表会や、イベントで踊り、たまーにセッションやバトルにもチャレンジしています。
私生活や仕事でいろいろ悩むこと、辛いことも、踊っていた事で気持ち切り替えて、自分を奮い立たせる事が出来ました。
日常では接点の無い、様々な年代、様々な職種の方、学生とステージを共にしたり、切磋琢磨できることはとても刺激になります。違う世代のいろんな考え方を知る事ができるのも魅力です。

――― 格好いいです。結構運動量激しいので体力付けないといけない感じのダンスですね。ラッパーでもないのにダンスでバトルもされるとは。
普段、地味な作業で指先と脳みそだけ動かす傾向にあるから身体を思いっきり使うことは心身のバランスを取るのにもとても良いことですね。

昔は、家事、育児、看護、介護、仕事の両立がメインのワークライフバランスでしたが、今は、家事はそこそこ、ダンスと仕事とたまに旅行というライフスタイルを満喫しています。

有限会社デジタルムーン http://www.digital-moon.com

 

 

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