インタビュー

Posted on 2016-11-01
ころりんスライダーから広がる障害者の仕事創出


株式会社のぎす 代表取締役 栗本 薫

株式会社のぎす 代表取締役 栗本 薫

ご実家はボウリング場を経営ご実家はボウリング場を経営されていますが、そこを独立されて主にころりんスライダーの開発と販売、ウレタン素材を使った下駄や知育玩具など販売されています。製品の開発や資金繰りの苦労話や知的障害のお子さんのこと、シングルマザーとしても奮闘されています。

取材 宮崎純代

はじめは返品の連続、そして発注するお金が無くなる。

——— そもそもこのころりんスライダーを開発されたきっかけは?

もともと台はあったのですが、発砲スチロールにウレタンを吹き付けただけなので半年で使えなくなるものもあるレベルでした。
それではあんまりなので、良いものを作りたいと。また高さがそれまで 60、70センチあったのです。お子さんがそのぐらいの高さだと顔の位置にボールがくるので持ち上げた時に危ない。だから赤ちゃんが生まれた時の身長50 センチ、つかまり立ちした1歳~2歳ころには台をつかめる。そんな小さい子でも使ってもらえるように考えました。

そしてボールを滑らす面がコの字だったのでガタガタとどちらかの角に当たってボールが真っすぐ進まないので全て角を取りました。
改良品は、ほぼ真っすぐボールが転がせますし、ピンが残ったら、台を置く角度を変えて狙って滑らせて楽しんでもらえます。

ころりんスライダー

ころりんスライダー

——— 障害ある方には特に便利に使ってもらえる道具ですね。

はい。息子は、小学校 6 年生で知的障害があるので、脳から手に力(脳からの指令)が正しく伝わらない。ボールを持つことが出来ても投げられないのです。
なので、これを使って工夫して楽しんでいます。
老人ホームの方などは座って楽しんでおられます。寝たきりの方も可能です。

——— どこで製造されていましたか?

はじめは、東大阪の工場で、本当に手作りで作ってもらっていたのですが、職人さんによる出来上がりのばらつきがあり強度もまちまちでした。当時、創業補助金をいただいていて、手続きが面倒と思ったこともあり、その時は、それでも返品分の商品をそこで作ってもらっては納品していました。
しかし、やはり作り直しても壊れてしまう。このままでは赤字が膨らむとウレタンを扱っている全国の工場を探しましたら、群馬県に非常に緻密な見積もりを送ってくださった会社があったのです。

 
丁度、知的障害のある息子の学校行事の日で、土曜日に夜まで見てもらえるようになったので夜中、土曜日(0時)になった瞬間に車で群馬に向かいました。一日で20時間運転して往復したのは後にも先にもあの1度だけです。

それで、型を流し込むのに金型だとかなりの金額がかかるのですが、樹脂型だと比較的型代が安く、台数も作れるという事でお願いする事にしました。ウレタンは成型したら縮むので出来上がりのカタチを予測して、原型から成形型を作るのにずいぶん大変だったと、後日工場の方から伺いました。
工場を変えてすぐに仕入れた製品は、それまで出荷した製品の返品の交換商品として消えていきました。
仕入れたものが無くなり、売るものが無い。売るものが無いからお金が無いという状態になりました。
これで本当に廃業か?という時に、群馬の社長から、
「売るものが無いんでしょ。何体か送ってあげるから売れたらお金払って。」
とお電話をいただいたのです。

 
その時は、もう泣きましたね。それがなければ今頃弊社は潰れていたと思います。
工場を変えてすぐは、稀に返品があったのですが、今では新しく開発された樹脂の登場で、非常に強度としなやかさを兼ね備えたものができ、ようやく安定感を持って出荷出来るようになりました。
 

ピンチの時にボウリング専門の商社と契約

 
それでもポツポツとしか売れないので、追い詰められていたところ、アメリカンボウリングサービス(ABS)という業界ではシェアナンバー1の商社と契約出来たのです。つまり代わりに商品を買い取って売ってくれる先が見つかったのです。

——— それはどこで知り合われたのですか?

それは実家が経営のオプトボウルタカダに来られていた営業の方の繋がりで、以前からお話はしていたのですが、上層部の方と実際お話していただける機会を得ました。
もともと起業のきっかけが、「ものづくりを通して障害者の働く場を作ること」なので、ころりんスライダーが、幼児や高齢者、障害者が楽しむためのものばかりでなく、部品や付属品を組み立てたりする仕事創出に通じることを力説しました。
その熱意に共感してくださったのではないかと思います。
それから2ヶ月後、まとまった発注がきたのですが、今度は売れるとわかっているものの製造発注のお金が無い状態で、人に借りることになりました。本当に安心できることがないことばかり続きました。

その年の暮れ、最初の頃に納品したころりんスライダーの無償交換期間が過ぎ、ようやく少し落ち着くことが出来ました。

もうすぐ弊社は、3期目に入ります。

これは、ウレタンを扱ってる工場を奈良で探していて、ご紹介いただいた企業さんなんです。そこで、EVAスポンジのおもちゃがあると教えていただいたのです。
食品衛生法も通っているので、口に入っても問題ないのです。小さなお子様から、高齢者まで楽しめますので、委託で売らせていただいて、イベントにも出店しています。
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——— 株式会社のぎすにとって障害者の仕事創出とは?

スポンジ製のボウリングのピンをつくるのですが、2個の型で1つに仕上がるのでその際にできるバリ取りの仕事や、スポンジ製のピンとボールのセットを入れるカバンを施設で作る仕事ですね。
また、洗える畳がそうですが、施設で世話する人も世話される人も楽になり楽しくなる商品を考えています。

——— ところで会社の「のぎす」という名前は珍しいですよね。

私自身 DIY が好きなこともあります。のぎすは建築工具で長さを5/100㎜まで正確に測る事ができます。物を挟む「ジョウ」と呼ばれる部分が、挟む対象物に両側から寄り添っていくように見える事から「お客様のニーズに出来るだけ正確に寄り添いたい」思いを込めて命名しました。
名刺にも、目盛が書いていますが、会社のロゴも「の」の字になっているのです。福祉関係ぽくないネーミングを意識しました。またどういう業態に変わってもいいようにと(笑)。

【ころりんスライダーの説明動画です】

株式会社のぎす
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