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Posted on 2018-09-07
人形に投影する多様な世界観、誰かのものでない独自の美を発信しよう


人形作家Kate
今回は、個性際立つ友人を紹介します。グラフィックデザイナーで音楽に造詣が深く、洋服を手作りし、健康な料理への拘り半端なく、豊富な外国生活の経験から通訳の仕事もこなす人形作家kateさんです。
1つ質問すれば10以上の内容が返ってくる豊富な話題や知識、わからないことは徹底的に調べ上げる驚く程の探求心は、学芸員や研究者にぴったりではないかと思う程ですが、やはりいつも感動したり激しながら何かしらに創作しているイメージがある彼女は、気性そのものからしてアーティストなのです。
(前回では、共にラブドール展に行ってきたことをレポートしています。いいねが非常に少ない割にPV数が多く、知人の間では、評判の記事でした。ラブドールをものづくりとして見られる方は、よろしければ、こちらの記事クリック参照

聞き手と文  宮崎純代 一部文Kate

導かれるように知育玩具のデザイナーに

―――人形作りのきっかけは?

アメリカで大学生のとき、学校の近くに一軒家の謎の店があって、中年の白人女性が一人でやってたのですが門をくぐってポーチを歩いてお家(お店)に入るとなんと、ビンテージバービーの嵐!
70’sバービー、ケン、フランシー!スキッパー!そしてテディベアとその他の布のお人形が所狭しと並んでた!今なら即買い!なんだけど、なんせ貧乏学生には65ドルでも無理で。毎回見るだけ。 そんなある日、クラスメート(日本人、20歳)を連れて行ったのです。以来その子もビンテージ・バービーの虜になって、即自分で3体、彼氏に3体買ってもらっていたということがありました。 私は悔しくて悔しくて。

そんなことも忘れて帰国してからすぐ子供の知育玩具のデザイナーになり、テディベアのデザインを担当することになった。毎月6体くらい企画し、試作、型紙制作、などをしていて、その時は嫌で仕方なかったけど、会社を辞めてからベア作りにはまりまくり。ハンドメイドつながりでバービーのメイクオーバーをしてる人がいることを知りました。
「おっ!これはオリジナルなバービードールではないか!」
と昔悔しい思いをしたことを思い出し、自分もやってみることに。そしてカスタムドール作りにはまったのですよ。
―――そこから本格的にずっとですか。売り始めたのは?
人形作り
ヤフオクで毎週一個ずつ売って、けっこういい値で売れたのです。それが始まりです。
その後ビンテージバービーも手に入れたけれど、人形作り熱は止まず、人形の素体を買って顔をペイントしたり、髪の毛を植毛したり、義眼を入れたりした人形をたくさん作って原宿で個展をしたり。 でも所詮は二次的制作物なので、一から作ってみたくなって、でも何からやっていいかわからず、アンティーク・ビスクドールの手法を習い、球体関節の技法を習い、それらを組み合わせて球体関節のビスクドール(陶器素材の人形)を作っています。その間もサーニットやキャストなどの樹脂などいろいろなものでまだまだ理想のドールを模索中です。

―――あなたの作る人形は、どれも乙女な少女で、ファッションコーディネートも上品でお洒落。いそうにない乙女っぽさだけどとても現代的です。どのようなイメージをして作り、どんな人に受け取ってもらいたいですか?

原点は小学校時代に憧れた一条ゆかりさんの「少女漫画だけど大人な世界観」です。そして岩館真理子さんの「美しくて残酷で悲しい」少女の世界です。また雑誌オリーブでおしゃれの開眼がありました。オリーブ少女に代表される、おしゃれだけどギャルではなく、文学少女でクラスの主役というよりオブザーバーな女の子がモデルです。オリーブはなくなり90年代は去っても、そういう世界を夢見ながら、自分がなりたい女の子のイメージを投影しつつ人形を作っています。同じような想いの人に手元においてほしいですね。人形の洋服

人形の世界って多種多様だね!

―――人形は、目の印象が大きいので気になるのですがどうやって入れているんですか?

オビツドールなどのソフトビニールの人形は顔の裏側に目袋がついていて、そこに眼球をいれることができます。
スーパードルフィーはキャストという樹脂なので、硬い素材です。なので袋はついておらず、ビスクドールと同じく、目の部分にアールがついていてそこをアイサイザーで削って微調整したりして大きさを調節し、眼球を入れます。

義眼挿入動画見たい方はこちら
―――スーパードルフィーって何ですか?

ボークスという会社からでてるお人形で、樹脂でできた素体を自由にカスタマイズできます。ガレージキットのフィギュアを売ってた会社なので男性もファンが多く、半分はおたくっぽい男性、半分はロリータ&ゴスロリの女の子で盛り上がってますね。
あと、ジーナ・ガランさんという写真家さんが有名にしたブライス・ドールも人気です。女の子が扱いやすいようにと、目と頭が巨大で(体はリカちゃんサイズ)、70年代に発売されたんだけど、買ってもらった女の子たちがみんな怖がって泣き出したため即発売中止になりました。そういう人形をジーナさん(ジーナさんはカメラマン)が発掘して、写真集を発売したのです。するとすぐ世界中で大人気になって復活!こちらもカスタムする人が後をたたない状態になりました。目はギミックが入っていて目を変えたりできるからです。
私はSD(スーパードルフィー)よりブライスが好きです。おしゃれで明るい世界観が共感できるので。「キモかわいい」ブームの火つけにもなったんですよ。

人形の素材は以下のような分類があるようです。
●スーパードルフィー 樹脂素材 量産しやすい 色移りや黄変しやすい

●ビスクドール 陶器素材 型で量産可能 割れやすい ウオッシュ(着色)の熟練技術がいる

●クラフトドール 粘土による 再現性が少ない 芸術的な創作によく使われる

●ソフトビニールドール バービー リカちゃん人形がこれです 量産用

メイキング動画

「可愛い KAWAII」も「美しい」もメディアや誰かに追随したり押し付けられるものではなく独自のものを追求したい。

―――人形も人気スーパーモデルと同じで極端に細い身体が流行ったり、時代を反映しますね。

初代バービーのドールデザイナーは男性で自分の美しい妻がモデルだそうです。
ある論文の内容は、バービードールが出てくるまで、女の子は赤ちゃん人形で遊んでいて、お母さんの真似をしてあやしたりミルクをあげたりしていました。 でもバービーの出現によって女の子は一変してしまうのです。
金髪・青い目・グラマーでスタイル良く、かっこいいボーイフレンドがいる。週末は着飾ってパーティーに行く。
(実際私もお人形でどれだけパーティーに行ったことでしょう)
例えば、映画「ミーン・ガール」の世界。
参照: Pinkの Perfect 参照: ビヨンセの Pretty Hurts とう風に。
人形を通して、パターン化された幸せを追うことは、「自分ではない」理想を追うような恋愛をしたり整形し過ぎて病んでしまったりすることに通じます。
でも結局のところ、人間は美しいものが好きで、ミスコンを辞めろという人もいるけど、若さや美しさは美徳の一種。でもそれだけで決まってしまうものではないですよね。

―――「美は乱調にあり」っていうから男も女も整っているのが必ずしも美しいとは思わないですよ。

乱調といえば、ランチュウ(金魚)が好きな人もいるわけだし。

―――整形大国の韓国などは、美人は得するからと娘に美容整形代を母親がプレゼントするらしいけど、みんな同じような顔になってますよね。日本でもなりたい顔ランキングで石原さとみの顔がトップになれば、こぞってそういうメイクの特集も組まれる流れにどどーっと。

美容整形は、アート性を問わない先生だと同じ顔になるけれど、スーパーモデル級だとキレイ枠はそこそこで、どれだけ個性的にインパクトもたせるかが重要になってきます。

―――顔よりスタイルってこともあるけど、世界的に有名な日本人モデルも敢えて二重瞼にしないで堂々としています。

整った見た目の美しさは、美徳の一部でしかないから「美は乱調にあり」で色々バラエティがあっていいと思うのです。レディメイドなもの、これがいいんだよと言われた商品を押し付けられたり追随するのは嫌。私は自分独自の美を追求したいし、それを人形に投影せずにはいられないのです。

―――ほんとにまだまだ誰かの仕掛けた少ない価値観しか無くて、これがお洒落、これが美しい、これが今風と洗脳しようとしてきます。それに当てはまらないとコンプレックスを感じたり。

不健康な美もOK,  LGBTもOK, と既存にない美や価値観がもっと沢山世の中に晒されるように、いろんな人が発信すべきだと思いますよ。人形作家としてもその一端を担いたいです。

―――そう。まさにこのサイトも女性の多様性を発信するサイトです。まだまだ出回ってる情報の「多様性」は、圧倒的に少ないです。人は、似たような人を沢山取り上げる大きなメディアがいくつかあるとそれが大きな影響力となり、アイコンとなり、追随しがちです。それは、良いことばかりでなく見失うものも多いと注意しなければ。既存あるなしに限らず、掘り起こしたり、深堀りすること、それを発信することは『普通』に”健全なこと”だと思っています。その先の流れや仕組も考えていく課題はありますが。また情報過多な今だからこそ自分も含め出来る限り情報にコントロールされないようにしていきたいものです。

さて、人形作家Kateさんと(対談)お話ししてみたい方、募集しています。人形でも音楽の話でもお互いが盛り上がれそうであれば、音声収録します。Discovery TalkというYouTubeチャンネルを作りました。こちら。

このチャンネルのコンセプトは『様々なジャンルのスペシャリストやスペシャルなものを持つ人同士がテーマに沿って対談やロケ取材などでトーク展開。そこから生まれる新たな発見、価値観、科学反応、夢や企画を共有してください。』というものです。年齢性別関係無しです。

 

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