お知らせ / インタビュー

Posted on 2018-03-26
声にならない声が可視化されたSo coolなアート


アーティスト 刺繍する犬「無効化された音の装置」

昨年の12月、前回よりさらにパワーアップし盛況だった個展に伺いました。ギャラリーに配置された「無効化された音の装置」。作品そのものを愉しんだり鑑賞しながら、作品が発するテーマに自ずと対峙させられる空間でした。
2度目取材ですが、以前の記事はこちら「異彩を放つアーティスト」の記事Clickです。

文 刺繍する犬 聞き手と構成 宮崎純代

評判良かったバーゼルVOLTA初参加

——2015年夏に、はじめてお会いした個展から3年ちかく経ちましたが、あの時、「今後は欧米と広く海外にも活動の幅を拡げていきたい」という目標は着実に実現されていってますね。

バーゼルVOLTA2016出展の反応は非常に良かったです。 多くの作品が売れました。

当時実家の母が倒れ、私が面倒を見る状況になりまともに働けない環境でしたので、この時の売り上げは非常に助かりました。 2017年はグッズの制作を一切辞めて今回の個展に向けて作品だけを作りました。

私の作品のテーマに一貫して根底にあるのは「女性の労働と社会」です。 手刺繍は無駄に時間がかかる手仕事であり、女性へ押し付けられるあらゆる役割のひとつの象徴であります。 そのことへの苛立ちと反発の念を込めています。 私自身のフェミニスト的な考えと、実家やパート先での私の立場には乖離があって、日々葛藤しています。 長年の一人暮らしから実家で介護、家事をするにあたってその乖離にめまいを覚える日々です。

——-押し付けられるというか、女性自ら女性はこうあるべきだという役割を進んで演じようとする傾向もありますね。それぞれ若い女性なりに、歳を重ねた女性なりに、振る舞いや遠慮など、おそらくこうすれば無難だろうと制御してしまう部分も…。誰もが身に覚えがあるのではないでしょうか。

私にも内在化しているジェンダーバイアスがあり自己嫌悪することがあります。

2つのテーマ「抑圧された声の存在」と「老化と無常」

今回の個展の「無効化された音の装置」 にはどうしても届かない声、 抑圧された声の存在を 刺繍された音の波形や分解された音の機器などで表現しました。 もうひとつのテーマは老化と無常 どんな最新機器も時が経てば古びゆく。 Mac PCなどを分解して、その内部、基板を丁寧に刺繍する事で鎮魂の意味を込めています。

金属などの有機物の古びにはある種の美しささえ感じるのに 皮膚などの有機物の古びにはそう感じづらい。その違いに興味があるので、今回裏テーマとして鉛に加えてゼラチンを媒体に選びました。 しかしその為には 放置してカビたゼラチンの作品とフレッシュなゼラチンを併置しても良かったなと少し後悔しています。

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——刺繍犬さんの作品をクール、恰好いいと形容する人は多いです。 それは、決しておもねない姿勢が、一貫して反映されているからだと思います。

アートは、讃えられ方も消費のされ方も様々で、音楽や映画もそうですが、対峙した時に、気持ち悪さを感じる時、どこか受けを狙ったりなにかにおもねているから、それを察知してしまうのではないでしょうか? マーケティングは、大事ですが、その質の差があると思います。 どうですか?

抑圧や老化がテーマの割には作品自体はCoolとか、カッコイイと評されることが多く、性別がわからないアーティスト名にしてるので男性の作品と思う方も多いです。 ジェンダーの撹乱は狙い通りです。

意識してソリッドでCoolな仕上がりにしています。 手刺繍でありながら曲線を排するため、基板などのモチーフを選んでいます。 私の作品に媚びが無いと感じていただけるのはその辺りも一因かと。

何かにおもねるとか媚びるとかは実生活で生活の為にしょうがなくやっていますので せめて作品だけはそれをしたくない。 そこでおもねる事は本当の意味で自尊心を棄てる事になるので。 [創作]という媚びなくても済む自分の小さな王国を持てているのは幸福だと思っています。 ただ、受けを狙うという意味では話題性のある魅力的な基板を使用する事はあります。

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——ある実験で、ビジネスメールで男名にした時と女名にした時の反応をテストしたのが海外であったのを思い出しました。その他に事前フィルター掛けられがちな年齢、人種、出身、属する団体や有名無名加減…。性別不詳は戦略だったのですね。

ところで、影響を受けているアーティストや現代美術に限らず好きな作品、楽しみなど教えていただきたいです。

影響を受けたアーティストについてですが、これまでのアートの歴史を無視して作品を作る事はあり得ないので、挙げるときりがないのですが….好きなアーティストはジャクソン・ポロック、河原温、キーファー、田中敦子、三木富雄、町田久美、名和晃平などなど、やっぱり挙げきれない。
あと、思想的な意味でも強烈に惹かれる作品はジュディ・シカゴのディナーパーティーという作品です!
ざっくり言うと社会革命に生きた歴代女性たちへのオマージュを陶器と刺繍などで表した作品です。
http://www.new-york-art.com/old/Mus-brook-Judy.php
ぜひリンク先を見てください。

それから最近良かったものとして海外ドラマのGirlsにハマっています。
主演女優のレナ・ダナムが脚本、制作、監督、主演すべてを行なっていて本当に才能がすごいのです。

 

—–知らない世界が広がるようで興味深いです。是非チェックしてみます。
そして、次の作品の試みはいかがですか?

ゼラチン、ゲル系を使って経年変化がテーマの作品を増やしたい。
それと私のライフワーク的な基板刺繍をパッチワーク状にしてかなり大きなサイズの作品を作りたいと思っています。

4/13~5/12までYODギャラリー10周年記念展に17人の作家のひとりとして出品致します。
http://www.yodgallery.com/top.html

 

 

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